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初診の患者さまで「鍼は痛くないですか?」
というご質問がよくあります。
鍼の痛さを想像するとき、注射針の痛みや縫い針で指を刺した痛みを思い浮かべてのご質問です。
鍼の痛みは注射のような痛みではありません。
注射針はかなり太い(鍼の数倍以上)上に先が刃物になっています。
少し前に痛みの少ない注射針をめざして先端わずか0.2ミリ、世界一極細のインスリン用注射針が発売になりました。
注射針の太さの比較
右より米粒、21ゲージ(0.8ミリ)、27ゲージ(0.4ミリ)、31ゲージ(0.25ミリ)、33ゲージ(0.2ミリ)
鍼灸の鍼
左より極細鍼(0.12ミリ)、1番鍼(0.16ミリ)、3番鍼(0.2ミリ)

右端は米粒で、その隣は病院で注射によく使う針、点滴ではもう少し太くなります。
こうして並べると注射針の太さが際立っています。
これを想像するとやはり痛そうです。
その左隣り27ゲージは予防接種などでよく使われます。
左から3番目が鍼治療で最もよく使われる3番鍼(0.2ミリ)です。
その右の最近作られた世界一極細といわれるインスリン用と同じ太さです。
蚊に刺された程度というキャッチフレーズです。
これに穴があいているのですから恐るべし日本の技術力ですね。
但しこの注射針細いのは針先だけで、根元は少し太くなっています。
いちばん左は極細鍼の0.12ミリで、平均的な日本人の髪の太さは0.08ミリといわれていますが、キューティクルがしっかりした太い髪の人と同程度の太さです。
このように鍼の太さだけを比較しても数倍の違いがあります。
では縫い針は?
目隠しして体表上の2点に機械刺激を与えて、それが2点と識別できる最小の距離を2点弁別閾といいます。部位によって大きく差があり、指先や唇は小さく3ミリ程度。腕や背中は大きく60ミリ程度です。 -
背中では6センチ離した2点を1点と感じてしまうくらい鈍感?なのです。縫い針は鍼灸の鍼より太いのと、誤って刺すのは指先です。この指先には密度が高く知覚神経があり、比例して痛覚も多いので「イタッ」となります。通常背中など神経の密度の低いところでは痛覚に当たる率が低いので「イタッ」となることは少ないのです。しかし偶々そこに当たった時にはチクッとなるので場所を少し移動します。
では鍼は痛くないのでしょうか?
痛いという表現は同じでも質が違います。
このチックという痛みと鍼の響きは全く別物です。
たとえばシャープペンシルの先で蚊に刺された所を強く押しても痛いとは感じないでしょう。逆に気持ちいい感覚すら覚えます。
悪い所に鍼をするとズッシーンとショックを感じるような重怠い痛みがあります。
こういう感覚を「得気」といい、現代では「鍼感」ともいいます。
中国鍼灸古典には
「気が到ると、魚が釣り針を飲み込んだように浮沈する。至らねば無人の建物を深く進んで行くが如し。」と描写しています。
またこの得気と治療効果には「気が至れば有効」、「気が早く至れば効果も速い」という関係が述べられています。
気が至ると患者さんは刺鍼部位に怠い、腫れぼったい、重い、痺れるなどの感覚があります。またその感覚が離れた所まで伝わる感じがします。その時鍼を持った術者の手にも重く沈んで締め付けられ渋る感覚が伝わります。
得気とは鍼を通じて悪い所を術者に教えてくれている
モールス信号です。
あたかも傷んだ体があっ、そこそこと訴えかけているようです。
鍼は痛くないか!
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