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花粉症

食品アレルギーと腸管防御機構についての論文を読んでいて、アレルギーについてこれまでの認識を再考させられた。以前にこのブログで、コラーゲンを摂取したからといって、体内でコラーゲンが増えるわけではないと言う事を書いたけれど、アレルギーという角度から経口摂取について考えてみると興味ある事実が浮かんで来る。

経口免疫寛容といって、経口摂取したタンパク質に対してアレルギーを起こしにくくする機構が動物には備わっているということである。食品に対して一々アレルギーを起こしていては生命維持ができないから、食物由来の異物や腸内共生細菌に対しては積極的なアレルギー反応が働かないようにしている。そういえば昔から、漆にかぶれないようにするには少しずつ漆を舐めれば良いと言われてきたが、まさにこの経口免疫寛容を利用した方法だったのだ。しかしこれは腸管にだけに備わった機構であり、皮膚に少しずつ塗ってもアレルギー反応の低下は起こらない。

この経口免疫寛容を利用したアレルギー疾患の治療方法が有る。関節リウマチの患者の免疫細胞の標的は、関節に有る非変性Ⅱ型コラーゲンであり、そのコラーゲンを経口摂取することによりアレルギー反応を抑えるということがドイツやアメリカなどで報告されている。

経口減感作療法を疑っていたわけではないけれど、花粉症の患者が花粉を食べればアレルギー反応が軽減される…今までそんなバカなと思っていた事が、今や科学的に説明が付く事態であり、大して害もなさそうなのでやってみる価値はあると考えさせられた次第である。

鍼治療は免疫応答を調節することによりアレルギー疾患や自己免疫疾患の治療に有意義であると考えられている。鍼治療がアレルギー反応に対して作用する機序は未だ不明な点が多いが、免疫系におけるサイトカイン生産を変化させて免疫応答を調節しうる可能性を示唆している。その機序を関西鍼灸大学の栗原らは「鍼と免疫」の論文の中で以下の図のように説明している。WS000174.jpg

ヘルパーT細胞に作用してバランスを変化させることにより免疫応答を調節しているという仮説である。

鍼治療でよく用いられる説明として、正常な状態に近づけるという言葉が有るが、アレルギー反応においてまさにそれを説明した図である。

鍼と免疫.pdf

自律神経と免疫

新潟大学医学部教授の安保徹先生は、鍼灸治療が自律神経を介して免疫系に強い影響を与えることを、その著書の中で解説している。自律神経系の偏りは病気発症の本体と深くかかわっているので、病気の治療には、この是正が絶対必要である。鍼灸治療は交感神経緊張状態の患者には絶大な効果を発揮するが、それは自律神経の偏りを是正して、循環系や免疫系の改善を促すことにより自己治癒力が高まった結果である。

弊院においても常にこれらの事を考慮して、鍼灸治療と共に星状神経節レーザー(SGL)を併用した施術を行っている。その安保先生が某医科大学漢方研究会において、「免疫と漢方」の演題で特別公演されるとの案内が届き今から大変楽しみにしている。白血球の自律神経支配のメカニズムを世界で初めて解明された先生で、その著書の中で気圧と疾患など今まで医学では説明できなかった事柄も論理的に解説され、従来とは違った視点から疾患と対峙できるのではと期待している。

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

安保 徹著。自律神経と免疫に焦点をあて、病気の成り立ちと治癒反応を明らかにする。「気圧と疾患」「白血球膜状に発現する自律神経レセプターと白血球の生体リズム」等、30章に分けて解説。

めまいの続報

以前にアミノ酸とめまいに関してのブログを書きましたが、今回関連する論文が見つかりご紹介します。

JST COPYRIGHT
整理番号:08A0796790
和文標題:めまい疾患における血清アミノ酸値の検討
著者名:清水直樹, 山中敏彰, 澤井八千代, 村井孝行, 細井裕司 (奈良県医大 医 耳鼻咽喉科), 藤田信哉 (県立奈良病院 耳鼻咽喉科)
資料名:頭頸部自律神経 JST資料番号:L6725A
巻号ページ(発行年月日):Vol.22, Page37-39 (2008.06 ) 写図表参:写図3, 参7
資料種別:会議録(C) 記事区分:短報(a2)
発行国:日本(JPN) 言語:日本語(JA)
抄録:血清アミノ酸とめまい疾患との関連性について検討した。奈良県立医大耳鼻咽喉科めまい・平衡外来を受診しためまい症例のうち,高速液体クロマトグラフィー法にて血清アミノ酸分析を施行した110例(男性28例,女性82例,平均年齢53.5歳)を対象とした。その結果,血清グルタミン酸濃度の上昇を示したのは25例(22.7%)であり,アスパラギン酸濃度の上昇は16例(14.5%)に認められた。一方グリシンの以上は4例(3.6%)のみで,GABAの上昇した例はみられなかった。めまいの性状を回転性と非回転性に分け比較すると,回転性めまいを訴えた症例は81例,非回転性めまいを訴えた症例は29例で,グルタミン酸濃度とアスパラギン酸濃度の異常率は,ともに回転性めまいを訴える患者で多く認められた。
分類コード:GQ03000X (616.211/.218)
シソーラス用語:ヒト, *めまい, 血清中濃度, アミノ酸/血液分析(BL), 高速液体クロマトグラフィー, 血液化学検査, 脂肪族アミン, 脂肪族カルボン酸, ジカルボン酸, 第一アミン, アミノカルボン酸
物質索引:グルタミン酸 (J9.171E, 56-86-0)/血液分析(BL), アスパラギン酸 (J9.169C, 56-84-8)/血液分析(BL), グリシン (J1.163K, 56-40-6)/血液分析(BL), GABA (J1.375G, 56-12-2)/血液分析(BL)

前回は私や知り合いがアミノ酸入りスポーツドリンクを飲み過ぎてめまいが起ったため、経験的にめまいの原因をスポーツドリンクだと推定していましたが、今回血中のアミノ酸濃度とめまいの関係が科学的に証明された論文を見つけました。

私の中ではやはり間違い無かったのだと確信を持てました。これからのめまい治療に自信を持ってアドバイスできそうです。

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