鍼灸治療の最近のブログ記事

弊院ではキセノンレーザーを星状神経節に照射することで、安全にしかも痛みなく自律神経の安定や血流改善、ホルモンのアンバランスの治療をすることができます。キセノン光による、星状神経節レーザー照射(SGLまたはSGR)は脳血流の増加を図り、視床下部機能を賦活させます。

キセノン光治療は、自律神経失調症、血行障害(冷え性・レイノー症)、アレルギー性鼻炎、花粉症、メニエール病、更年期障害、円形脱毛症、扁桃炎・口内炎・めまい・神経性頻尿・月経前緊張症・月経痛・子宮摘出後体調不良などに効果が期待できます。

西洋医学は、痛みには鎮痛剤、熱には解熱剤を投与するといったような症状を緩和する対症療法が中心です。しかし人間の体には本来、自分の力で病気を治す自然治癒力と言うものが備わっていて、それを強化する事が根本的な解決につながります。

脳には自律神経やホルモン、免疫などを調節する機能が有って、視床下部と言うところがその仕事を担っています。脳血流が悪くなるとその視床下部の機能が低下し、自律神経失調、ホルモンのアンバランス、感染症やがん細胞の増殖といったような不具合を生じます。

星状神経節ブロック療法は脳血流を増やす良い方法ですが、指先の感覚を重視して首に麻酔の注射をするため、麻酔科医の熟練した手技が必要です。それに変わる安全で無痛の方法として開発されたのが、低レベル医療用レーザーによる星状神経節レーザー照射です。整形外科や麻酔科で盛んに使用されていて、出身の科によりSGLとかSGRという略号で呼ばれていますが、どちらも星状神経節レーザー照射の意です。

現在、そのレーザーにも大きく分けて3種類のものがあり、スーパーライザー、メディレーザー、オーブといった商品名で市場に出回っています。機器の価格はどれも同じようなもので、機能もそれぞれのメーカーが自社の優位性を謳っています。

私は大学病院等で3機種ともに使用経験が有りますが、現在、弊院ではキセノン光照射のオーブを使ってSGLを行っています。鍼治療と併用やレーザー治療のみのコースもございます。詳しくはお電話下さい。

坐骨神経痛と鍼治療

下肢の痛みやしびれを訴えて、鍼灸院を訪れる患者様は非常に多い。しかしその原因には様々なものが存在する。

坐骨神経痛は古典的には病名であったが、その原疾患が明らかになるにつれ症候群になった。坐骨神経痛の原疾患には変形性脊椎症、腰部椎間関節症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、黄色靭帯骨化症、脊椎腫瘍、梨状筋症候群、関節リウマチ、糖尿病、子宮筋腫、妊娠などがある。

坐骨神経痛のうち鍼灸が最も適応となるのは、変形性脊椎症や梨状筋症候群、大腰筋症候群などである。反面、脊柱管狭窄症やすべり症、椎間板ヘルニアなどの骨や椎間板に構造的な異常がある場合、鍼灸が第一選択にはならない。

しかし、現実には、そのような構造異常が原因の坐骨神経痛にも効果が出ている。その理由として、構造異常と梨状筋症候群や大腰筋症候群が併発しているからだと考えている。構造異常が原因で、自然に長期間にわたり体をかばう姿勢を取り、大腰筋症候群が続発し、その結果坐骨神経痛を増々悪化させていると思われる。

気楽堂では3寸のディスポ鍼を使用して、北京堂方式の大腰筋刺鍼で良い治療効果をあげている。深部の筋を直接刺鍼することにより、体性‐自律神経反射がおこり、下肢の血流が改善し、痛みを軽減させると考えている。坐骨神経痛でお悩みの患者さまには是非お試しいただきたい治療方法だ。

花粉症

食品アレルギーと腸管防御機構についての論文を読んでいて、アレルギーについてこれまでの認識を再考させられた。以前にこのブログで、コラーゲンを摂取したからといって、体内でコラーゲンが増えるわけではないと言う事を書いたけれど、アレルギーという角度から経口摂取について考えてみると興味ある事実が浮かんで来る。

経口免疫寛容といって、経口摂取したタンパク質に対してアレルギーを起こしにくくする機構が動物には備わっているということである。食品に対して一々アレルギーを起こしていては生命維持ができないから、食物由来の異物や腸内共生細菌に対しては積極的なアレルギー反応が働かないようにしている。そういえば昔から、漆にかぶれないようにするには少しずつ漆を舐めれば良いと言われてきたが、まさにこの経口免疫寛容を利用した方法だったのだ。しかしこれは腸管にだけに備わった機構であり、皮膚に少しずつ塗ってもアレルギー反応の低下は起こらない。

この経口免疫寛容を利用したアレルギー疾患の治療方法が有る。関節リウマチの患者の免疫細胞の標的は、関節に有る非変性Ⅱ型コラーゲンであり、そのコラーゲンを経口摂取することによりアレルギー反応を抑えるということがドイツやアメリカなどで報告されている。

経口減感作療法を疑っていたわけではないけれど、花粉症の患者が花粉を食べればアレルギー反応が軽減される…今までそんなバカなと思っていた事が、今や科学的に説明が付く事態であり、大して害もなさそうなのでやってみる価値はあると考えさせられた次第である。

鍼治療は免疫応答を調節することによりアレルギー疾患や自己免疫疾患の治療に有意義であると考えられている。鍼治療がアレルギー反応に対して作用する機序は未だ不明な点が多いが、免疫系におけるサイトカイン生産を変化させて免疫応答を調節しうる可能性を示唆している。その機序を関西鍼灸大学の栗原らは「鍼と免疫」の論文の中で以下の図のように説明している。WS000174.jpg

ヘルパーT細胞に作用してバランスを変化させることにより免疫応答を調節しているという仮説である。

鍼治療でよく用いられる説明として、正常な状態に近づけるという言葉が有るが、アレルギー反応においてまさにそれを説明した図である。

鍼と免疫.pdf

自律神経と免疫

新潟大学医学部教授の安保徹先生は、鍼灸治療が自律神経を介して免疫系に強い影響を与えることを、その著書の中で解説している。自律神経系の偏りは病気発症の本体と深くかかわっているので、病気の治療には、この是正が絶対必要である。鍼灸治療は交感神経緊張状態の患者には絶大な効果を発揮するが、それは自律神経の偏りを是正して、循環系や免疫系の改善を促すことにより自己治癒力が高まった結果である。

弊院においても常にこれらの事を考慮して、鍼灸治療と共に星状神経節レーザー(SGL)を併用した施術を行っている。その安保先生が某医科大学漢方研究会において、「免疫と漢方」の演題で特別公演されるとの案内が届き今から大変楽しみにしている。白血球の自律神経支配のメカニズムを世界で初めて解明された先生で、その著書の中で気圧と疾患など今まで医学では説明できなかった事柄も論理的に解説され、従来とは違った視点から疾患と対峙できるのではと期待している。

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

安保 徹著。自律神経と免疫に焦点をあて、病気の成り立ちと治癒反応を明らかにする。「気圧と疾患」「白血球膜状に発現する自律神経レセプターと白血球の生体リズム」等、30章に分けて解説。

めまいの続報

以前にアミノ酸とめまいに関してのブログを書きましたが、今回関連する論文が見つかりご紹介します。

JST COPYRIGHT
整理番号:08A0796790
和文標題:めまい疾患における血清アミノ酸値の検討
著者名:清水直樹, 山中敏彰, 澤井八千代, 村井孝行, 細井裕司 (奈良県医大 医 耳鼻咽喉科), 藤田信哉 (県立奈良病院 耳鼻咽喉科)
資料名:頭頸部自律神経 JST資料番号:L6725A
巻号ページ(発行年月日):Vol.22, Page37-39 (2008.06 ) 写図表参:写図3, 参7
資料種別:会議録(C) 記事区分:短報(a2)
発行国:日本(JPN) 言語:日本語(JA)
抄録:血清アミノ酸とめまい疾患との関連性について検討した。奈良県立医大耳鼻咽喉科めまい・平衡外来を受診しためまい症例のうち,高速液体クロマトグラフィー法にて血清アミノ酸分析を施行した110例(男性28例,女性82例,平均年齢53.5歳)を対象とした。その結果,血清グルタミン酸濃度の上昇を示したのは25例(22.7%)であり,アスパラギン酸濃度の上昇は16例(14.5%)に認められた。一方グリシンの以上は4例(3.6%)のみで,GABAの上昇した例はみられなかった。めまいの性状を回転性と非回転性に分け比較すると,回転性めまいを訴えた症例は81例,非回転性めまいを訴えた症例は29例で,グルタミン酸濃度とアスパラギン酸濃度の異常率は,ともに回転性めまいを訴える患者で多く認められた。
分類コード:GQ03000X (616.211/.218)
シソーラス用語:ヒト, *めまい, 血清中濃度, アミノ酸/血液分析(BL), 高速液体クロマトグラフィー, 血液化学検査, 脂肪族アミン, 脂肪族カルボン酸, ジカルボン酸, 第一アミン, アミノカルボン酸
物質索引:グルタミン酸 (J9.171E, 56-86-0)/血液分析(BL), アスパラギン酸 (J9.169C, 56-84-8)/血液分析(BL), グリシン (J1.163K, 56-40-6)/血液分析(BL), GABA (J1.375G, 56-12-2)/血液分析(BL)

前回は私や知り合いがアミノ酸入りスポーツドリンクを飲み過ぎてめまいが起ったため、経験的にめまいの原因をスポーツドリンクだと推定していましたが、今回血中のアミノ酸濃度とめまいの関係が科学的に証明された論文を見つけました。

私の中ではやはり間違い無かったのだと確信を持てました。これからのめまい治療に自信を持ってアドバイスできそうです。

自律神経失調

人は加齢に伴い体の多くの部位で、安静時の交感神経活動が亢進すると考えられています。ノルアドレナリンは交感神経の神経伝達物質の一つで、その血中濃度は交感神経の働きに相関しています。その血中ノルアドレナリン濃度の増加が加齢とともに認められ、あわせて筋交感神経活動頻度の増加が測定されています。この増加は老化により肺での酸素交換が障害されて、血液中の酸素分圧が低下したり、内臓脂肪が増えてそこから放出されるレプチンによって起こるなどが考えられています。

しかしそれらが正常でも、心臓や血管の反応性が悪くなることにより、交感神経過剰状態になっている可能性があります。たとえばその一症状として、急に立ち上がった時に血圧を保とうとして交感神経が作用しますが、それがうまく働かないために一過性低血圧発作なります。これを避けようとして笛吹けど踊らない臓器を激励するがごとく普段から交感神経が過剰に働いているのです。

このような加齢による臓器機能の低下は安静時において自律神経が補っていますが、それ故に環境変化に対応する自律神経能力が低下傾向にあり、色々な不定愁訴が顕在化します。交感神経が過度に緊張すると白血球のバランスが崩れて免疫力が低下し、様々な病気の原因になります。体の各所で血流が悪くなり、疲れ、だるさ、冷え、めまい、耳鳴りなどの原因になり、全身の機能を低下させます。更年期と言われる時期も、自律神経やホルモンに対し、て、反応性の悪くなった体と折り合いをつける時期であるとお考えください。老化は誰もが通り抜けねばならないトンネルですが、できるだけ不快感を抑えて楽に折り合いをつける手助けをする事が鍼灸の役目であると考えています。

老人性難聴

東京大学大学院農学生命科学研究科

発表概要

我々はミトコンドリア(注1)においてアポトーシス(注2)を促進する働きをもつBak(注3)遺伝子が老人性難聴の発症機構に必須であることを明らかにしました。またミトコンドリアにおける活性酸素(注4)種レベルの増加や酸化ストレス障害の増加がBakの活性化を誘導し老人性難聴を引き起こすこと、さらに抗酸化物質であるアルファリポ酸とコエンザイムQ10がBakの発現を抑制し、老人性難聴の発症を遅延することを明らかにしました。今回の研究成果は内耳老化機構の解明、高齢者の健康維持、そして老人性難聴の予防法・治療法の確立に役立つことが期待されます。本研究は、東京大学大学院農学生命科学研究科、東京大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科、ウィスコンシン大学マディソン校遺伝子学部、フロリダ大学老化学部、ニューヨーク州立大学バッファロー校聴覚・難聴センター、ワシントン大学病理学部との共同研究の成果です。

本研究成果は、米国の科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」オンライン版に11月9日(米国東部時間)に掲載されました。

用語解説

注1:ミトコンドリア エネルギー産生や呼吸代謝の役目をもつ細胞小器官。

注2:アポトーシス プログラム化された細胞死。

注3:Bak ミトコンドリアに局在しアポトーシスを促進するタンパク質。Bcl-2ファミリーのメンバー。

注4:活性酸素 活性化された状態の酸素分子とその関連物質。

 先週の11月10日に、東京大学大学院農学生命科学研究科の染谷先生らの「老人性難聴の発症の仕組みを解明した」という内容の論文が、米国の科学アカデミーオンライン版に掲載されました。その概要は右の通りです。

 この論文には、コエンザイムQ10が、老人性難聴の発症を遅らせるという実験結果が示されています。コエンザイムQ10というのは、CoQ10といってサプリメントでもおなじみなので、皆さんもテレビ等でお耳にされたことがあると思います。

 人間にはアポトーシスといって、遺伝子にプログラムされた細胞死があって、難聴は加齢による内耳の感覚器のアポトーシスが原因で、細胞が徐々に死滅して、耳が聞こえなくなるようです。今回の発表では、そのアポトーシスを遅らせるのが、CoQ10だということが解明されたらしいです。

 コ・エンザイムのエンザイムは酵素という意味で、コエンザイムは補助酵素というi意味です。。補助酵素Qはユビキノンという物質で、ミトコンドリアの電子伝達系に関与しています。ミトコンドリアはエネルギーの元(ATP)を生産する細胞で、それゆえにミトコンドリアは細胞のエネルギー生産工場と言われています。そのミトコンドリアは、肝細胞や心臓、筋肉さらに神経細胞など、エネルギーを大量に必要とする組織に多いので、聴覚細胞のエネルギー源を枯渇させないために、CoQ10を摂取するというのは悪い話ではなさそうです。

老人性難聴や突発性難聴など、鍼灸による難聴治療においては、当然の事ながら死んでしまった細胞を生き返らせることはできませんが、その初期の段階ではよく効くケースがあります。鍼灸治療の主な目的は、血液循環を高めて、聴細胞に酸素を多く送り込むことにあります。

  西洋医学において、老人性難聴はこのように解明されつつありますが、突発性難聴にはウイルス原因説や内耳循環障害説があり、どのような治療が効果的かはまだ未解明ですが、ステロイド投与は抗炎症作用や活性酵素抑制作用という観点から、ウイルス説や循環障害説の両方を満たす治療方法です。ステロイドの効果があまり出なかった患者さんの場合は、内耳循環の改善を目指す鍼治療は、積極的にお試しいただく選択肢の一つであると思います。

膝痛、関節痛とコラーゲン

関節痛の患者様が異口同音におっしゃるには、関節軟骨がすり減っているからコラーゲンを取って増やさないといけないと思い、サプリメントを飲んでいますと。でも実はこの話、胃が悪いから上ミノを食べていますのような類の話なのです。

テレビなどの影響で身体の構造について良くご存じなのは喜ばしいことですが、一部に誤った認識があることも確かです。コラーゲンはたんぱく質の一種で体内では消化吸収されてアミノ酸になります。アミノ酸を利用して体内でコラーゲンが合成されるのですが、そのアミノ酸はコラーゲン由来のアミノ酸で無くても、豆や肉、魚などのタンパクを消化吸収したアミノ酸でも同じです。コラーゲンを摂取したからコラーゲンが増えるというような選択的な再合成はできません。

人体に摂取したタンパク質はほぼ100%消化吸収されアミノ酸になります。そのアミノ酸を利用して体の細胞を再合成しています。普段蛋白質を一切取らないベジタリアンならいざ知らず、普通に生活している現代人において、ことさらコラーゲンを摂取しないといけない理由は有りません。

コラーゲンは分解されるとゼラチンになります。どうしてもコラーゲンを摂取したいのであればゼラチンでも効果は同じです。グミを食べれば良いだけの事。高い出費の必要性は有りません。

変形性膝関節症

人差し指が薬指よりも短い女性は膝の変形性関節症(OA)
のリスクが高いことが、医学誌「Arthritis & Rheumatism」
1月号で報告されました。
 
男性は人差し指よりも薬指が長く、女性は長さに差がない
傾向があるとされています。
人差し指が薬指より短い人は、胎児期に浴びた
テストステロン(男性ホルモン)値が高く、
エストロゲン(女性ホルモン)値が低いこと、
男性では精子数が多いことが明らかにされています。
 
変形性関節症には運動およびエストロゲン欠乏が関わって
いることから、指の長さと膝および股関節の変形性関節症
リスクとの相関の有無を検討した結果
 
人差し指が薬指より長いものをタイプ1
長さが同じものをタイプ2
人差し指が薬指より短いものをタイプ3
 
タイプ3の手をもつ人は膝変形性関節症のリスクが2倍であり、
薬指が人差し指よりも長い「男性」型の手をもつ女性の
膝変形性関節症リスクが特に高い点を指摘しています。

筋力が大切

足腰弱り将来は「要介護」50代以上の8割超...東大調査
 
足腰の骨や筋肉が弱って、
将来介護が必要になる運動器の障害を抱えている人は、
50歳代以上で8割を超えることが
東京大の調査で分かった。
 
自覚症状がない人も多く、
放っておくと悪化する恐れがあるため
研究チームは片足立ちやスクワットなどによる
予防を呼び掛けている。
 
介護が必要になる運動器の障害は、
関節の軟骨がすり減って痛む「変形性ひざ関節症」、
腰の骨同士がぶつかる「変形性腰椎(ようつい)症」、
骨粗しょう症が代表的。吉村典子准教授らは、
東京都板橋区と和歌山県の日高川町と太地町の住民
3040人を対象にレントゲン撮影、問診などを行い、
この3疾患の有症率を調べた。
 
その結果、50歳以上でいずれかの疾患と断定された人は
87%に達した。年齢別では、50歳代で67%、
70歳代は96%と加齢に伴い急増。
運動の機能に影響する二つ以上の疾患を持っている人も
50歳以上は51%。60歳以上の発症者のうち、
痛みなど自覚症状のない人は約7割いた。
 
(2009年7月1日10時07分 読売新聞)
 
膝関節症予防には、
太ももの前の筋肉を強化することが重要になります。
この筋肉が弱ると膝関節にすべりやねじれの異常運動が起き、
骨が擦り減ったり、痛みが出たりします。
 
腰痛は安易にコルセットを常用すると筋力が低下して
腰椎の不安定を増強させ
益々腰痛が強くなるといった悪循環になります。
積極的に腹筋と背筋の強化訓練を行う事が重要です。

鍼灸が体に与える作用

鍼灸刺激は末梢血管を拡張させ、
白血球の遊走性を亢進するなどして
生体防御機能を賦活します。
 
これは末梢C線維が軸索反射を起こし、
局所にサブスタンスPやCGRPが分泌されることによる
反応と考えられています。
 
鍼刺激では心電図上P-P間隔延長が認められ、
心拍数が減少します。
 
これは副交感神経が強く亢進され、
交感神経が軽度抑制されるからと考えられています。
 
腰部の脊柱起立筋への鍼刺激により、
下肢の骨格筋の血流が改善され、
筋収縮力回復が促進されます。
 
四肢への鍼刺激により胃の蠕動運動が亢進します。
実際、治療中患者さまの胃がグルグル鳴り出します。
 
鍼刺激により末梢血中のT細胞やNK細胞が増加します。
 
このような事実から、鍼灸の健康維持や病気予防の作用は
以下のように考えられます。
 
1.免疫機能調整
現代医学において、発病と人体の抵抗力の関係が重要視されていますが、
鍼灸は液性免疫と細胞性免疫を調整し抵抗力を高めるのみならず、
老化による免疫機能低下を改善し、老化予防に効果があります。
 
2.血管や神経機能調整
鍼灸は高脂血症を改善し、血圧を調整し、
心臓や脳血管の疾患を予防します。
薬物のような対症療法ではなく、
神経や内分泌を調整し、体のシステム全体に作用し改善します。 
 

現代人の体の不調はストレスが大きく関与しています。
ストレスが体に与える影響は、本人が考えている以上に
大きいものです。
 
肩こり、腰痛、胃十二指腸潰瘍、高血圧、狭心症、がん、
脳卒中、インフルエンザ、等...
まだまだ枚挙にいとまがないぐらいの原因となり得ます。
以下生理学的に簡単に図示します。

 
鍼灸はこのようなストレスが原因の不調状態を、
正常に近づけるのに理想的な治療です。
 
もはや非科学的で野蛮な経験治療ではないのです。
 

胸郭出口症候群

その症状は多彩で不定愁訴のようですが、一定のパターンがあります。
 
微熱、倦怠感、頭痛、不眠嘔気、目の奥の痛み
頸部の痛み、上肢の痛み、しびれ、冷感、脱力感、発汗異常
 
電車の吊革を持つ時、ホワイトボードに字を書く時、
洗濯物を干す時、ドライヤーを持つ時など
手を挙上したとき手がしびれる、冷感、
重だるいなどの症状が出る又は増悪するタイプと、
カバンや買い物袋を手に提げた時など、
手を下垂したときに症状が出る又は増悪するタイプがあります。
 
病院で胸郭出口症候群(TOS)と診断がつき、
保存療法を行っている場合に鍼灸治療が有効です。
 
挙上タイプは腕に行く神経の圧迫が
頸から鎖骨にかけての何れかの部位にあると考えられ、
筋の過緊張を緩和する目的で鍼灸治療を行います。
 
また牽引タイプは血流改善を促し、炎症物質、
老廃物の代謝促進や疼痛閾値の上昇目的で鍼灸治療を行います。
 
倦怠感や不眠など自律神経症状に対しても大変有効です。
 
今まで頸部の圧迫部位の典型は斜角筋三角部との理解でしたが、
近年、それより上部で肩甲背神経が圧迫され、
肩甲骨の内側に違和感がある非定形な胸郭出口症候群が報告されています。
 
北京堂式針灸ではこの症状に対しても、
肩甲背神経の分岐部の筋を緩めることにより、
その有効性を認めています。

更年期障害

症状
 
更年期の症状の現れ方はさまざまで、更年期症状は、
閉経が近づくにつれてホルモンの濃度が変動するために起こると考えられています。
 
更年期の症状として、ほてりやのぼせといった症状は
ホットフラッシュとも呼ばれ、女性の4分の3が経験します。
こうした症状は1年以上にわたって出る人が多く、半数近くの女性では5年以上続きます。
 
ほてりの原因はよくわかっていませんが、
ホルモン濃度の変動に関係があり、
皮膚の表面に近い血管が拡張するために起こると考えられています。
血管が拡張すると血流が増えるため、特に顔や首などで、
皮膚の赤みが増して温かく感じられます(熱感、ほてり)。
大量に汗をかく人もいます。
ほてりは30秒から5分程度続き、ほてりの後に悪寒を感じることもあります。
 

閉経期の前後にみられる症状としてはこのほか、
気分の変動、うつ、刺激に対する過敏性、不安、神経質、
不眠、集中力低下、頭痛、疲労などがあります。
これらの症状はエストロゲン濃度の低下と関連している可能性がありますが、
正確な関係は明らかになっていません。
ほてりによる寝汗が睡眠を妨げ、睡眠不足が原因で疲れたり、
いらだちやすくなることがあります。
睡眠障害はほてりがない女性にもよくみられます。
 
めまいがしたり、しびれを感じることもあります。
心臓の拍動が強く、あるいは速く感じられること(動悸[どうき])もあります。
更年期に体重が増えたり、閉経後もさらに増え続けることがありますが、
これはホルモン濃度の変化によるものではなく、通常の加齢に伴う現象の1つです。
 

更年期のさまざまな症状は不快なものですが、
その多くは閉経以降は頻度も強さも低下していきます。
(メルクマニュアルより)
 
更年期をうまく乗り切る手段として鍼灸は最も適切な手段です。
 
更年期障害の鍼治療は、自律神経の調整を主な目的に行います。
特に交感神経過緊張を緩める治療です。
自覚があるなしにかかわらず、頚椎から胸椎の脊柱に異常や圧痛が見られることが多く、
(交感神経は胸腰椎、副交感神経は中脳・延髄・仙髄)
背中のツボ(背骨の両脇)に刺鍼することで
緊張した交感神経の安定を求めます。
 
直後効果も大きく、自覚症状の軽減が見られます。

鍼は痛くないか!

初診の患者さまで「鍼は痛くないですか?」
というご質問がよくあります。
 
鍼の痛さを想像するとき、注射針の痛みや縫い針で指を刺した痛みを思い浮かべてのご質問です。
 
鍼の痛みは注射のような痛みではありません。
注射針はかなり太い(鍼の数倍以上)上に先が刃物になっています。
少し前に痛みの少ない注射針をめざして先端わずか0.2ミリ、世界一極細のインスリン用注射針が発売になりました。
 
注射針の太さの比較
右より米粒、21ゲージ(0.8ミリ)、27ゲージ(0.4ミリ)、31ゲージ(0.25ミリ)、33ゲージ(0.2ミリ)
 
鍼灸の鍼
左より極細鍼(0.12ミリ)、1番鍼(0.16ミリ)、3番鍼(0.2ミリ)
 

 
右端は米粒で、その隣は病院で注射によく使う針、点滴ではもう少し太くなります。
 
こうして並べると注射針の太さが際立っています。
これを想像するとやはり痛そうです。
その左隣り27ゲージは予防接種などでよく使われます。
 
左から3番目が鍼治療で最もよく使われる3番鍼(0.2ミリ)です。
その右の最近作られた世界一極細といわれるインスリン用と同じ太さです。
蚊に刺された程度というキャッチフレーズです。
これに穴があいているのですから恐るべし日本の技術力ですね。
但しこの注射針細いのは針先だけで、根元は少し太くなっています。
 
いちばん左は極細鍼の0.12ミリで、平均的な日本人の髪の太さは0.08ミリといわれていますが、キューティクルがしっかりした太い髪の人と同程度の太さです。
 
このように鍼の太さだけを比較しても数倍の違いがあります。
 
では縫い針は?
目隠しして体表上の2点に機械刺激を与えて、それが2点と識別できる最小の距離を2点弁別閾といいます。部位によって大きく差があり、指先や唇は小さく3ミリ程度。腕や背中は大きく60ミリ程度です。

背中では6センチ離した2点を1点と感じてしまうくらい鈍感?なのです。縫い針は鍼灸の鍼より太いのと、誤って刺すのは指先です。この指先には密度が高く知覚神経があり、比例して痛覚も多いので「イタッ」となります。通常背中など神経の密度の低いところでは痛覚に当たる率が低いので「イタッ」となることは少ないのです。しかし偶々そこに当たった時にはチクッとなるので場所を少し移動します。
 
では鍼は痛くないのでしょうか?
痛いという表現は同じでも質が違います。
このチックという痛みと鍼の響きは全く別物です。
 
たとえばシャープペンシルの先で蚊に刺された所を強く押しても痛いとは感じないでしょう。逆に気持ちいい感覚すら覚えます。
 
悪い所に鍼をするとズッシーンとショックを感じるような重怠い痛みがあります。
こういう感覚を「得気」といい、現代では「鍼感」ともいいます。
 
中国鍼灸古典には
「気が到ると、魚が釣り針を飲み込んだように浮沈する。至らねば無人の建物を深く進んで行くが如し。」と描写しています。
またこの得気と治療効果には「気が至れば有効」、「気が早く至れば効果も速い」という関係が述べられています。
 

気が至ると患者さんは刺鍼部位に怠い、腫れぼったい、重い、痺れるなどの感覚があります。またその感覚が離れた所まで伝わる感じがします。その時鍼を持った術者の手にも重く沈んで締め付けられ渋る感覚が伝わります。
得気とは鍼を通じて悪い所を術者に教えてくれている
モールス信号です。
 
あたかも傷んだ体があっ、そこそこと訴えかけているようです。

腰部の痛み

腰部痛は骨とそれを連結する椎間板、関節、
靱帯と筋肉や神経が原因で出現します。
発生源は一つではなく
複雑に絡み合っている場合が多いようです。
 
※股関節痛
※坐骨神経痛
※ぎっくり腰
※腰椎捻挫
これらは鍼灸で治癒率の良い疾患です。
 
※腰椎椎間板ヘルニア
麻痺や神経症状が少なく、保存療法が選択された場合鍼灸適応です。
 
※脊柱管狭窄症
※腰椎すべり症
※腰椎分離症
成人の上記3疾患は通常保存療法で軽快することが多いようです。
膀胱直腸障害呈している場合以外は、鍼灸治療適応です。
腎結石など内蔵由来の腰痛は鍼灸適応ではありません。
 
また原因不明で心因性腰痛を考慮しなければならない場合もあります。
 
ニューヨーク大学医学部教授ジョン・E・サーノ博士は、
大多数の腰痛患者が心理的要素を持っていると
その著書の中で述べています。
全世界で数十万人の患者を
「読書療法」だけで完治させたそうです。

 

頸部の痛み

頸部の痛みは骨や関節、軟部組織、筋や筋膜などに由来する痛みと、
脊髄や神経根に由来する痛みがあります。
しかし、頸部から出ている神経は頭や手、背中に走行しているため、
頸部が悪くても肩が痛い、背中が痛い、後頭部が痛いなどと、
違った部位の痛みとして感じる場合が多いようです。
 
椎間板性の痛みは神経根が原因の場合、
誘発テストでしびれが分布する部位によって
悪い神経根をある程度予測できますが、
脊椎洞神経を経由する場合背中に放散したりするので、
椎間関節か椎間板性かを鑑別するのは困難です。
血流改善や代謝促進を期待してどちらも鍼灸適応です。
 
筋筋膜性の疼痛はトリガーポイントを認めることが多く鍼灸適応ですが、
最も注意を要するのは、安静時じっとしていても痛い場合です。
レントゲン等で腫瘍性でないことを調べる必要があります。
 
頸部の代表的な疾患
 
※頸椎症性神経根症
※頸椎症性脊髄症
※頚椎後縦靱帯骨化症(頚椎OPLL)
上記3症の軽度な症例は保存療法が良好で、
手術と比較しても予後に大差がないと報告されています。
自覚症状の軽減に鍼灸適応です。
 
※頚椎捻挫
※頚肩腕症候群
※胸郭出口症候群
この3症も肺尖の悪性腫瘍による
パンコースト症候群に注意が必要ですが、
鍼灸により筋を弛めて血流改善すれば症状の緩解が期待できます。
 

キセノン光治療

光の生体反応
●交感神経機能抑制
興奮度の高い交感神経への抑制作用
●血管拡張
細動脈への直接作用と交感神経経由
●知覚神経の興奮性抑制
知覚神経の伝達抑制、過分極、脱分極、ATP感受性カリウムチャネル活性化。
●中枢神経のエネルギー代謝への影響
大脳皮質組織のATP含有量増加、虚血負荷海馬ニューロン機能回復促進
 
痛みを伴わない痛み治療として、キセノン光治療器が注目されています。
また自律神経を安定させることにより、血流改善や治癒力強化が期待できます。
 
同様の医療器としてスーパーライザーやメディレーザーがあります。
それぞれの波長は下図を参照してください。
わたしは臨床でこれら3機種を使っていましたが、
除痛効果や保温効果においてキセノンの手応えが一番良いように思います。
 
以下日本医広よりの図表

16.jpeg

 

痛みの悪循環

pain
 
機械的、物理的、あるいは化学的刺激はその強度が増すと、痛みとして感じられるようになります。
このような外的刺激を侵害刺激といいます。
 
また、病気や外傷等によって生じる炎症やその他の発痛物質(セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン等)
が作用しています。
これらの刺激や発痛物質によって侵害受容器(知覚神経)が興奮すると、
インパルスと呼ばれる電気信号が発生し、この信号は脊髄に入ります。
 ここで痛みの情報は次の神経にバトンタッチされ、さらに上行して視床に入り、
そのあと大脳皮質中心後回の体性感覚野に送られ、脳が痛みを自覚します。
 
痛みのインパルスが脊髄を上行する時、交感神経を興奮させ血管を収縮させます。
また、交感神経が興奮することによりカテコールアミンが副腎より分泌され、これも血管を収縮させます。
 
一方、大脳で痛みを認知するとインパルスは脊髄を下行し、反射性に運動神経を興奮させ、筋肉の緊張を増大させます。
これも血管の収縮につながります。
 
 このようなことから、痛みの発生部(原因組織)で血管収縮が起こります。
したがって局所の乏血が起こり血流不全となり、細胞組織の酸素欠乏となります。
 
 酸素で代謝ができなくなると、嫌気性代謝がおこり発痛物質が生成され、
さらに痛みを増強させます。このサイクルが痛みの悪循環です。各種の慢性痛の原因となります。
 
したがって、慢性痛の治療では痛みの悪循環の主役が交感神経の興奮であることを考慮して効果的に悪循環を止めることが重要となります。
 
出典:劔物 修編:改訂新版 図説半導体レーザーと痛みの治療、メジカルビュー社 1996.
 
弊院では必要により鍼灸と併用してキセノン光治療機AUVEで痛みのスパイラルを改善しています。

医療類似行為

法律上鍼灸は医療類似行為と定義されています。
治療や診療は医師や歯科医師のみが行える医療行為です。
ですから厳密には鍼灸院での治療は施術といいます。
 
診療時間という案内も法律に違反する書き方になります。
分かりやすいので私は使っていますが...
 
あるクリニックの診療方針に以下のようなものがありました。
 
目標
・自律神経の調節
・痛みやストレスの緩和
・中西医学の融合
・心身のリラクゼーション
 
コンセプト
痛みや辛さを取るのも医療である。
 
これらは鍼灸が求めているものと寸分の違いも有りません。
 
「痛みや辛さを取るのも医療である。」
これこそ鍼灸の得意分野です。
方法は違えどその目的は同じで、法律に遠慮なく述べるとすれば、鍼灸もまた間違いなく医療でしょうね。
 

大学病院のドクターが言っていた言葉を思い出します。
エビデンスに基づいた医療(EBM:Evidence Based Medicine 臨床的な判断に際し関係した文献を見つけ出し,
その妥当性を評価し,眼前の患者の状態に適用していいかどうかを検討するという一連の行動指針をさす)
の効果が無かった時、
もう打つ手が無いからと言って患者さんを見捨てて良いのか?
 
「たとえエビデンスに基づかなくても次の一手として鍼灸治療が有っても良いのではないか。
それで良くなる患者さんがいる限り...」
 
最近でこそ鍼灸界においてもEBMと言われるようになりましたが、
鍼灸はEBMとは対極にある「経験に基づいた行為」です。
しかし何故か現代医学では良くならなかった患者さんが、
鍼灸で見る見る良くなる良くなってゆく場面に多々遭遇したドクターの重い言葉です。
 
ここ数年で若い鍼灸師が爆発的に増えました。
規制の自由化とやらで学校が増えた為です。
そんな若い多くの知能が、近い将来鍼灸の科学的解明を益々進めてくれると期待しています。

記憶力を高める

最近記憶力の低下に頭を痛めています。
若いころなら知らない処で一度通った道路でも必ず覚えていて、迷うことはありませんでした。
ゴルフ場に行く時でも、行きは案内看板通りに行けば良いのですが、
帰りは案内が無いので記憶に頼ることになります。
そんな時でも決して不自由することはありませんでした。
 
それが今では昔良く行った定食屋の道が分からないというような、定着した記憶すら曖昧になってきました。
何でも機械に頼って頭を使う機会が減ってきたことが原因でしょうか。
 
昔なら電話番号なんてほとんど記憶していたのに、今では携帯頼りになってしまいました。
自動車はナビが無いと走れません。
道具が賢くなってもそれに反比例して人が馬鹿になるようではあまり有り難くないですね。
 
私はかろうじてセーフでしたが、製薬会社のページに
認知症チェックリストというものがあります。
 

鍼灸の臨床上において、体に危機感を与えると生命力が蘇るといったような事は多々あります。
体に危機感を与えるという意味において手段は違いますが、
食事のカロリー制限をすれば記憶力が良くなるそうです。
生物というものは危機感が無くなると退化するのでしょうね。
真冬に裸で乾布摩擦をしていた時代が一番健康的だったかもしれません。
 
カロリー制限で中高年の記憶力向上
 
健康な中高年で痩せすぎていない五十から七十九歳の男女四十九人を三グループに分け、
十九人にはカロリー摂取量を普段より三十%減らした。
別の二十名は認知症の役立つと言う説のある不飽和脂肪
酸の摂取を普段より二十%増量し、
残る十人は従来の食生活を続けた。
三ヶ月後にカロリーを押さえた十九人の点数は約二十%上昇
した。
カロリー制限によって体内の血糖値を調整するインスリンが
効きやすくなった人ほど、
成績の伸びが著しかったと独ミュンスター大学の研究チームが発表した。
2009年1月27日読売新聞

免疫をつける生活

先日、大学病院の同門会総会に行ってきました。
そこでの特別講演で東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生の
「免疫をつける生活」きれい社会の落とし穴というお話を興味深く拝聴しました。
藤田先生はサナダ虫博士として有名な先生で、笑うカイチュウ―寄生虫博士奮闘記に始まり、
腸を整えれば心も体も必ず元気になる!―大豆・根菜類・発酵食品で病気にならない体と心をつくるなど80余冊も執筆されています。
 
アトピー、花粉症、喘息は40年前には無かったこと。
現代のアレルギー疾患は生活環境が清潔すぎることが原因で起こっている先進国病だということ。
→清潔は病気だという著書も書いていらっしゃいます。
そもそも人は1万年前からあまり進化していない。→1万年前の環境で健康に生きられる。
 
新生児アトピーの赤ちゃんの40パーセントに大腸菌がいなかったこと。
第1子にアトピーが多いこと。→哺乳瓶の消毒や離乳食などについて神経質に育てすぎ。
 
サナダ虫が作る蛋白を合成し人に投与するとアレルギーは完治するが、がん細胞ができ易いこと。
しかしサナダ虫はがん細胞を抑えてくれる物質も分泌していること。
サナダ虫は全滅の危機にひんしているから、もうサナダ虫療法はできないこと。
 
アトピー治療は東洋医学的発想が必要で、自然治癒力を強化する必要があること。
免疫力の70パーセントは腸内細菌が作っていること。
O157の中毒は発展途上の国には無いこと。
等々を免疫学的に説明して納得させられるお話ばかりでした。
 
では免疫力を強化するためにはどうしたらいいのでしょうか。
サナダ虫が絶滅した今、腸内細菌に頼るしかありません。
1.抗菌剤、防腐剤の入った食物は取らない。→細菌が死んでしまう。
2.ビフィズス菌や乳酸菌を多く取る。
3.穀類、豆類、野菜など繊維の多いものを食べる。
4.抗酸化物の多い食物を食べる。→悪玉コレステロールは活性酸素に触れると動脈硬化を起こす。
5.ストレスを無くす。→現代では一寸無理?
6.笑う。
 
笑うって??
笑うことによってNK細胞が作られる。ウソ笑をするだけでも脳が間違ってNK細胞を作る。
NK細胞:ナチュラルキラー細胞→腫瘍発生に対する生体の防御機構の一翼を担っている。
 
関節リウマチの患者さんに、笑うだけの治療をした群と
薬を投与した群を比較した結果、笑うだけの治療の方が効果が高かったたというデーターがあります。
のようなお話でした。
 
鍼灸師の立場で考えると、免疫力強化といえば鍼灸治療をお忘れではないですか
と頭の中で一寸突っ込みを入れた私でした。

傍神経刺鍼

鍼の鎮痛機序でその科学的解明に寄与した医学博士木下晴都は、
坐骨神経痛に対してその神経の近傍に刺鍼し、
神経本幹や血管を圧迫する筋肉に血流改善を促したことにより、その治療効果を飛躍的に伸ばしました。
2寸半(7.5cm)の鍼でで6センチ刺入するこの方法を彼は傍神経刺鍼と名付けました。
 
並の鍼灸家ならこれで終わる話なのですが、
彼はその後の神経生理学的な研究で、
なぜ治療効果が躍進したのかを動物実験で科学的に解明しました。
 
刺鍼された筋肉受容器からの刺激が、反対側の視床下部前部に伝えられ、反射中枢となって
交感神経に含まれるコリン作動性神経を介する
体性-自律神経反射によって下肢筋の血流を改善し、
坐骨神経痛に著効を与えると解明したのです。
 
北京堂の淺野周先生は鍼灸古典の「気血が流れなければ痛む。
流れれば痛まない」という言葉を、
「酸素や血液が流れれば痛まない」と解釈し、
木下晴都の傍神経刺鍼を発展させて、3寸(9cm)の鍼を大腰筋に刺鍼し、
大腰筋刺鍼と命名し、坐骨神経痛に対する治療効果を益々改善させました。
 
当院ではその治療効果の高さから、
北京堂式鍼灸理論に賛同し積極的に導入しています。

大腰筋刺鍼

大腰筋は第5腰椎の位置では体の中心部の深さにあり、背中から6~9cmの深さにです。ウエスト60cmの方では9.6cmに相当します。但し腹臥位(うつ伏せ)になると胴囲も扁平するのでもう少し浅くなります。
 
下図は第4腰椎の位置で輪切りしたCT画像とイラストです。下が背中、上が腹側で、真中に腰椎が白く見えます。黄色の矢印で示した腰椎の左右にある太い筋肉が大腰筋です。
 
北京堂方式の大腰筋刺鍼では9cmの鍼を使って背中から筋肉に直接アプローチします。永年の腰痛にも効果てきめんです。
 
補足:患者さまから疑問をいただきました。
黄色の矢印が鍼ということではありません。
写真の下側が背中で、大腰筋刺鍼は背中側からアプローチします。
 

L4.jpg 

 

項背痛(トリガーポイント)

後頸部、肩上部、肩甲間部の軟部組織に緊張感、重圧感、疼痛などの不快な自覚愁訴があり筋の緊張、圧痛を認めます。鍼灸は選択的に該当筋肉の循環改善、循環調節、代謝促進を促し、筋の過緊張を緩解します。
 
僧帽筋の疼痛パターン

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肩甲挙筋の疼痛パターン

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 Myofascial pain and Dysfunction
 
背中は筋肉が薄く、下に肺があるのでとても注意が必要な部位ですが、北京堂方式では全ての鍼先を骨に当てて止めます。その結果それ以上先に進まない状態になります。解剖学的に危険な部位まで深く刺すことはありません。

下肢痛・殿部痛(トリガーポイント)

坐骨神経痛は腰下肢症状を訴える代表疾患ですが、その神経走行と一致しない痛みを訴えているにもかかわらず、病院で坐骨神経痛と診断を受けた患者さまが多くいらっしゃいます。
 
腰殿部痛に加え、大腿外側痛を同時に訴える場合、中殿筋、小殿筋の痛みである可能性があります。臨床上こういった患者さまは結構数多くいらっしゃいます。
 
中殿筋の疼痛パターンと解剖図
 

medius.gif   medius2.gif

小殿筋の疼痛パターンと解剖図


minimus.gif          minimus2.gif 
この場合中小殿筋を狙って刺鍼するのですが、通常使用されている鍼の長さでは到底届きません。北京堂式鍼灸では腰および殿部の深部まで刺鍼します。
その効果や響きにおいて従来の鍼灸との違いを体感される事でしょう。

冷えから来る痛み

春先は秋に比べると平均気温がかなり低く、その為か体の不調を訴える患者さまが増加します。特に気をつけなければならない事は、一度暖かくなって薄着になっているので、体が冷えやすい状態になっていることです。
 
冷えによる血行不良のため、足のむくみやだるさ、膝の痛み、肩こり、寝違えなどを訴えて来院されます。
 
冷えやすい足元や首筋を保温をするよう心がけてください。
温めるだけでむくみや痛みの予防ができます。
 
日本では近年35度C代の低体温の人が増えています。
体温が低くなると代謝が悪くなり、免疫機能も低下します。
風邪のとき、少々の熱ならば解熱剤で体温を下げない方が良いということを聞いたことはありませんか。免疫が活発に働くと発熱し、その発熱が免疫効果を助けるという密接な関係が存在するのです。


また冷えの影響は体の不調だけでなく心に及びます。だらだらとやる気が無くなり、自律神経のアンバランスを生み出します。
 
人はその中心の体温が37.2度Cぐらいありますが、深部体温と言い常に一定に保とうとします。体温が低い人は中心温度を保つため、手足からの放熱を少なくしようと末梢の血管を収縮させて手足に血液が行かないように調整します。深部体温を下げないための生体反応が冷えの原因です。
 
ではなぜ低体温の人が増えているのでしょうか。
その生活習慣の変化により平均体温が下がってきているようです。運動不足。ストレス、シャワーだけの入浴、冷房、睡眠不足など様々な要因が考えられます。
 
定期的に腰痛を起こしていた患者さまに、お風呂に浸かってゆっくり温まるようにして頂いた結果、腰痛が起こらなくなったと言う事を多々経験しています。
 
お風呂に入ると温まって血流が良くなるばかりではなく、副交感神経が優位になり、ホッとする、リラックス効果がある、その結果血流が良くなるという機序もあります。
 
自己修復能力を高めるにはまず血流改善が必須です。
湯治は昔の人間が経験的に考えた最善の治療方法なのです。
 
冷え性は万病の元という言葉はご存じでも、その反対に保温は万薬に値する。
という事を考えもしないかたがほとんどです。
 
※冷え性は冷え症ではありません。症は病気を現わし、冷え性は病気ではないからです。
 
生活習慣を変えるのは大変困難な事ですが、できることから始めてみては如何でしょうか。
 
NTT西日本大阪病院冷え性チェック
 
1 エアコンのない夏は考えられない
2 虫さされの後などがなかなか治らない
3 肩こり、腰痛、ひざの痛みなどがある
4 夕方になると足がだるい、靴もきつくなる
5 目のまわりにクマができやすい
6 性欲がない。セックスは面倒だ
7 おなかのあたりを触るとひんやりしている
8 どちらかというと下半身太りだ
9 冷たい飲物をがぶ飲みしがちだ
10 シャワーのみで湯船にはつからない
11 コーヒーを1日に3杯以上飲む
12 あまり歩かない、1日5000歩以下かも
13 ファーストフードやデリが好きだ
14 ニキビや吹き出物など、肌荒れしやすい
15 風邪でなくても、くしゃみや鼻水が出る
16 いったん座ると動くのがおっくうだ
17 便秘がある、または下痢しやすい


あてはまる数が多いほど、体は冷えています。
5つ以上だった人は、とりあえず体温を測ってみてください。
もし36度に満たない「低体温」だったなら、今すぐ体質改善を。

めまい

以前ゴルフに熱中していた頃、月曜日になるとめまいがしていました。いつも2~3日すると治るので日曜のラウンドで疲れているからかと気にしていませんでしたが、それが何週も続くとさすがにこれって何?と考えるようになりました。
 
月曜病?
ストレス?
 
よくよく考えてみると以前安物の中華料理を食べた時のめまいと似ていると感じました。それはチャイニーズレストラン症候群といって、体質によってある種のアミノ酸に過剰反応した結果でした。料理に化学調味料を大量に使っていたからです。
 
顔面の圧迫感、胸痛、全身の灼熱感が生じ不安感も多くの人で起こります。どの程度の量で症状が起きるかにはかなり個人差があります。
 
その時はアミノ酸入りのスポーツドリンクが発売された当初で、いつもゴルフラウンド中にそれを2~3本飲んでいました。飲んでいた銘柄を変えるとめまいが起らなくなりました。めまいの犯人はアミノ酸だったのです。
 
その後スポーツをやっている患者さまでめまいが起ると聞くと、アミノ酸入りスポーツドリンクを飲んでいないか質問します。一日4本飲んでいためまいの患者さまが、飲むのを中止したら治ったということを聞き、食品と言えど安易な摂取は禁物と自戒しています。

消炎鎮痛剤

雨の降る前日や台風の前に、体調不良を訴える患者さまが増えます。ほとんど女性の患者さまです。
 
昔から天気の悪くなる前に不定愁訴を訴えられたり、古傷が痛んだりすると言われています。更年期障害の方もこの傾向に有ります。
 
東洋医学的には湿気が悪いなどと言われていますが、ちょっと疑問を感じます。
 
私は気圧が大きく関係しているのではと思います。
天気が悪い→気圧が下がる→血圧変化→血流・自律神経・ホルモン分泌の変化
これだと医学的に説明が付きます。
 
※「気象変動が健常者血圧に与える影響についての検討」
横浜市立大学・杤久保先生 他。
2005年9月 第28回日本高血圧学会にて発表。
 

また、天気の悪い日が続くと、初診の患者さまの中には腰や膝に鎮痛目的で湿布を貼っているかたが多くいらっしゃいます。その日だけなら良いのですが、ずっと手放せないという患者さまもいらっしゃいます。
 
消炎鎮痛剤はNSAIDsといって化学構造的にステロイド骨格をもたない抗炎症薬の総称です。
 
痛みに対しては効果があるので、気軽に長期に渡り使ってしまいがちですが、血流低下作用があり、長期使用した場合、交感神経緊張状態になり血流障害をおこす可能性が有ります。胃潰瘍の可能性も有ります。
 
炎症時に生成されるプロスタグランジン類は生体にとって疼痛物質ですが、血管拡張作用、胃の粘膜保護、免疫機能の引き金作用というものもあります。NSAIDsはこのプロスタグランジンの生成を阻害して鎮痛します。
 
コリや痛みは血流を改善しないと良くならないのに、これらの湿布を長期連用すると、痛みは取れるが治癒しないということになってしまいます。
 
特に痛い時には便利な湿布ですが、長期連用は控えて下さい。
特に刺鍼後は鍼の効果を打ち消してしまいます。

自律神経失調

医学辞書では、「自律神経失調症とは一般に種々の身体的自律神経性愁訴をもち、しかもこれに見合うだけの器質的変化がなく,原因も不明であり、自律神経機能失調に基づく一連の病像をいう.」
と定義されています。
 
症状は頭痛,めまい,疲労感,不眠,ふるえ,四肢冷感,発汗異常,動悸,息切れ,胸部圧迫感,胸痛,食欲不振,胃部膨満感,便秘,下痢など多彩です.
 
症状は上記のように多彩ですが、主なものとして「めまい」、「全身倦怠」、「頭痛・頭重」、「動悸」などの身体症状があります。更年期障害に端を発するものも多く、不定愁訴症候群などと呼ばれたりもします。
 
この症状で内科に通院して処方される薬として、精神安定剤、睡眠導入剤、胃腸薬などがあります。しかし、薬で改善しない場合も多く、幾ら症状を訴えても、器質的変化がなく、原因も不明ということで、これ以上お手上げ状態の場合が多いようです。
 
実はこの自律神経失調症は鍼灸の得意な分野の一つです。
鍼の刺激は自律神経に直接作用しアンバランスを調整します。
施術による直後効果も大きく、その日から何らかの改善が見られることも多いようです。

椎間板ヘルニア

腰痛で病院へ行ってレントゲンで椎間板ヘルニアと診断を受けたという患者さまが多くいらっしゃいます。
 
椎間板ヘルニアはレントゲンだけでは安易に確定診断できない上に、それが10年前のことなら尚更のことですが、その痛み本当にヘルニアが原因なのでしょうか?
 
生理学的に考えると痛みや痺れは神経の電気伝導が行われているということで、神経が圧迫されることによる神経原性麻痺とは対極にある現象です。
 
正常な脊髄神経根の圧迫では痛みは生じません。
これは動物実験で認められている事実です。
「臨床医のための痛みのメカニズム」より
 
ですからヘルニアによって痛みが起こる事自体???なのです。
神経が炎症を起こしたり損傷されると、異所性興奮と言う現象が起こりますが、ヘルニアによるとされている痛みとは全く別物です。
 
当院の患者さまの中にもヘルニアの手術をしたが症状の改善しない方が少なからずいらっしゃいます。根拠無くヘルニアが原因とされた方たちです。
(現在の標準治療では保存療法が第一選択です)
 
これらの痛みは実は筋筋膜性疼痛だとする考え方があります。これは特定の圧痛点やトリガーポイントをもつ筋肉の痛みで、ストレスで悪化します。
動作障害、うつ、不眠などに陥ります。
こうなるのも痛みの悪循環が原因です。
 
その治療方法には以下のものがあります。
①冷却スプレーとストレッチで筋の血流を促進する。
②虚血性圧迫を加え反射的に血流を増加させる。
③トリガーポイントブロック注射。
④トリガーポイント刺鍼。
 
①冷却スプレーとストレッチで筋の血流を促進する。
②虚血性圧迫を加え反射的に血流を増加させる。
の方法では深部の筋肉までにはアプローチできません。
 
③トリガーポイントブロック注射。
は大変有効な手段ですが、薬品を体に注入することに抵抗を感じる感じる患者さまも多くいらっしゃいます。
 
当院では対象となる筋肉やトリガーポイント刺鍼を組み合わせて治療を行っています。鍼は疼痛を緩和し、生体が本来持っている自然治癒力を強化し、自分の力で修復していく手助けをする理想的な治療方法です。
 

疼痛緩和に鍼灸治療が注目され始めました。
大阪医大麻酔科では昭和41年から鍼灸部を併設し研究しています。
読売新聞記事(6月27日)

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