東洋医学では春に多いイライラや肩首のこわばり、目のかすみなどを肝(肝臓と言う意味ではありません)の病として分類しています。弊院においてもこれらの症状でお悩みの患者さまからのお問い合わせが増えています。そのなかでも最近何故かお問い合わせが増えている緑内障の治療について弊院の治療方針を説明させていただきます。
緑内障は眼房水という水の代謝が悪くなり、水の流出障害あるいは過剰産生によって眼圧が上昇し、視神経に障害をもたらす病気です。しかし最近では正常眼圧でも、視神経や視野に緑内障性の変化をきたす正常眼圧緑内障の頻度が高く、過半数を占めていることが確認されています。
この正常眼圧緑内障でも眼圧を下げる治療が有効とされていますが、その病能も未だ原因不明で、視神経の障害が進行している場合も少なく有りません。
弊院で行っているレーザー治療は、レーザーによって切開し排水を促進するいわゆるレーザー手術ではなく、現在眼科で行われている点眼治療などと並行して、星状神経節という自律神経に近赤外線レーザーを照射する事により目の血流を増やして、視神経障害の進行を抑えるという治療です。眼科治療を続けながらの補助的な方法であるとお考えください。
弊院で特にお勧めしているのは、脳血流を増やす事を目的に頸部に鍼治療を行い、あわせて星状神経節レーザーを併用するという方法です。というのも脳血流の悪くなる要因として最近一番に挙げられるのが首の筋肉の緊張で(前回の頸性神経筋症候群のところでご説明しました)、その緊張を取り去るのには鍼が最も効果のある方法だからです。その後、症状により数回の鍼治療併用の後にレーザー単独治療に切り替えて行きます。また、眼窩鍼といって目のくぼみに鍼をさす治療も有りますが、弊院ではあまりお勧めしていません。
ただ、鍼を受け付けない患者さまに無理に鍼と併用をお勧めする事はありません。星状神経節レーザー治療だけをご希望の患者さまもご遠慮なくお電話下さい。
以下は眼科診療2006年12月号に掲載された星状神経節照射の治療に関する要約です。
星状神経節照射の緑内障に対する効果の検討
杉山 哲也 ※1
小嶌 祥太 ※1
植木 麻理 ※1
廣辻 徳彦 ※1
池田 恒彦 ※1
河内 明 ※2
酒井 雅人 ※2
南 敏明 ※2
※1 大阪医科大学眼科学教室
※2 大阪医科大学麻酔科学教室
要約
目的:星状神経節への赤外線照射の緑内障に対する効果の評価。対象と方法:眼圧コントロールが良好であるにもかかわらず,視野障害が進行した緑内障患者18例18眼を対象とした。年齢は54~84歳(平均68歳)であった。星状神経節の近傍に対する赤外線照射には直線偏光近赤外線治療器を使用し,5秒ごとに1秒の照射を10分間施行した。これを原則として週2回,6か月間継続した。眼圧,血圧,視野を測定し,施行前後に視神経乳頭血流をレーザースペックル法で計測した。結果:照射側で視神経乳頭血流が有意に増加した。眼圧は一過性に下降したが,長期的には変化がなかった。血圧は変化しなかった。ハンフリー視野は,照射側で4眼が悪化し,非照射側で7眼が悪化した。
結論:星状神経節への赤外線照射で緑内障眼の視神経乳頭血流が増加し,症例により視野障害の進行が抑えられる可能性がある。














