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自律神経と免疫

新潟大学医学部教授の安保徹先生は、鍼灸治療が自律神経を介して免疫系に強い影響を与えることを、その著書の中で解説している。自律神経系の偏りは病気発症の本体と深くかかわっているので、病気の治療には、この是正が絶対必要である。鍼灸治療は交感神経緊張状態の患者には絶大な効果を発揮するが、それは自律神経の偏りを是正して、循環系や免疫系の改善を促すことにより自己治癒力が高まった結果である。

弊院においても常にこれらの事を考慮して、鍼灸治療と共に星状神経節レーザー(SGL)を併用した施術を行っている。その安保先生が某医科大学漢方研究会において、「免疫と漢方」の演題で特別公演されるとの案内が届き今から大変楽しみにしている。白血球の自律神経支配のメカニズムを世界で初めて解明された先生で、その著書の中で気圧と疾患など今まで医学では説明できなかった事柄も論理的に解説され、従来とは違った視点から疾患と対峙できるのではと期待している。

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

自律神経と免疫の法則―体調と免疫のメカニズム

安保 徹著。自律神経と免疫に焦点をあて、病気の成り立ちと治癒反応を明らかにする。「気圧と疾患」「白血球膜状に発現する自律神経レセプターと白血球の生体リズム」等、30章に分けて解説。

自律神経失調

人は加齢に伴い体の多くの部位で、安静時の交感神経活動が亢進すると考えられています。ノルアドレナリンは交感神経の神経伝達物質の一つで、その血中濃度は交感神経の働きに相関しています。その血中ノルアドレナリン濃度の増加が加齢とともに認められ、あわせて筋交感神経活動頻度の増加が測定されています。この増加は老化により肺での酸素交換が障害されて、血液中の酸素分圧が低下したり、内臓脂肪が増えてそこから放出されるレプチンによって起こるなどが考えられています。

しかしそれらが正常でも、心臓や血管の反応性が悪くなることにより、交感神経過剰状態になっている可能性があります。たとえばその一症状として、急に立ち上がった時に血圧を保とうとして交感神経が作用しますが、それがうまく働かないために一過性低血圧発作なります。これを避けようとして笛吹けど踊らない臓器を激励するがごとく普段から交感神経が過剰に働いているのです。

このような加齢による臓器機能の低下は安静時において自律神経が補っていますが、それ故に環境変化に対応する自律神経能力が低下傾向にあり、色々な不定愁訴が顕在化します。交感神経が過度に緊張すると白血球のバランスが崩れて免疫力が低下し、様々な病気の原因になります。体の各所で血流が悪くなり、疲れ、だるさ、冷え、めまい、耳鳴りなどの原因になり、全身の機能を低下させます。更年期と言われる時期も、自律神経やホルモンに対し、て、反応性の悪くなった体と折り合いをつける時期であるとお考えください。老化は誰もが通り抜けねばならないトンネルですが、できるだけ不快感を抑えて楽に折り合いをつける手助けをする事が鍼灸の役目であると考えています。

老人性難聴

東京大学大学院農学生命科学研究科

発表概要

我々はミトコンドリア(注1)においてアポトーシス(注2)を促進する働きをもつBak(注3)遺伝子が老人性難聴の発症機構に必須であることを明らかにしました。またミトコンドリアにおける活性酸素(注4)種レベルの増加や酸化ストレス障害の増加がBakの活性化を誘導し老人性難聴を引き起こすこと、さらに抗酸化物質であるアルファリポ酸とコエンザイムQ10がBakの発現を抑制し、老人性難聴の発症を遅延することを明らかにしました。今回の研究成果は内耳老化機構の解明、高齢者の健康維持、そして老人性難聴の予防法・治療法の確立に役立つことが期待されます。本研究は、東京大学大学院農学生命科学研究科、東京大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科、ウィスコンシン大学マディソン校遺伝子学部、フロリダ大学老化学部、ニューヨーク州立大学バッファロー校聴覚・難聴センター、ワシントン大学病理学部との共同研究の成果です。

本研究成果は、米国の科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」オンライン版に11月9日(米国東部時間)に掲載されました。

用語解説

注1:ミトコンドリア エネルギー産生や呼吸代謝の役目をもつ細胞小器官。

注2:アポトーシス プログラム化された細胞死。

注3:Bak ミトコンドリアに局在しアポトーシスを促進するタンパク質。Bcl-2ファミリーのメンバー。

注4:活性酸素 活性化された状態の酸素分子とその関連物質。

 先週の11月10日に、東京大学大学院農学生命科学研究科の染谷先生らの「老人性難聴の発症の仕組みを解明した」という内容の論文が、米国の科学アカデミーオンライン版に掲載されました。その概要は右の通りです。

 この論文には、コエンザイムQ10が、老人性難聴の発症を遅らせるという実験結果が示されています。コエンザイムQ10というのは、CoQ10といってサプリメントでもおなじみなので、皆さんもテレビ等でお耳にされたことがあると思います。

 人間にはアポトーシスといって、遺伝子にプログラムされた細胞死があって、難聴は加齢による内耳の感覚器のアポトーシスが原因で、細胞が徐々に死滅して、耳が聞こえなくなるようです。今回の発表では、そのアポトーシスを遅らせるのが、CoQ10だということが解明されたらしいです。

 コ・エンザイムのエンザイムは酵素という意味で、コエンザイムは補助酵素というi意味です。。補助酵素Qはユビキノンという物質で、ミトコンドリアの電子伝達系に関与しています。ミトコンドリアはエネルギーの元(ATP)を生産する細胞で、それゆえにミトコンドリアは細胞のエネルギー生産工場と言われています。そのミトコンドリアは、肝細胞や心臓、筋肉さらに神経細胞など、エネルギーを大量に必要とする組織に多いので、聴覚細胞のエネルギー源を枯渇させないために、CoQ10を摂取するというのは悪い話ではなさそうです。

老人性難聴や突発性難聴など、鍼灸による難聴治療においては、当然の事ながら死んでしまった細胞を生き返らせることはできませんが、その初期の段階ではよく効くケースがあります。鍼灸治療の主な目的は、血液循環を高めて、聴細胞に酸素を多く送り込むことにあります。

  西洋医学において、老人性難聴はこのように解明されつつありますが、突発性難聴にはウイルス原因説や内耳循環障害説があり、どのような治療が効果的かはまだ未解明ですが、ステロイド投与は抗炎症作用や活性酵素抑制作用という観点から、ウイルス説や循環障害説の両方を満たす治療方法です。ステロイドの効果があまり出なかった患者さんの場合は、内耳循環の改善を目指す鍼治療は、積極的にお試しいただく選択肢の一つであると思います。

更年期障害

症状
 
更年期の症状の現れ方はさまざまで、更年期症状は、
閉経が近づくにつれてホルモンの濃度が変動するために起こると考えられています。
 
更年期の症状として、ほてりやのぼせといった症状は
ホットフラッシュとも呼ばれ、女性の4分の3が経験します。
こうした症状は1年以上にわたって出る人が多く、半数近くの女性では5年以上続きます。
 
ほてりの原因はよくわかっていませんが、
ホルモン濃度の変動に関係があり、
皮膚の表面に近い血管が拡張するために起こると考えられています。
血管が拡張すると血流が増えるため、特に顔や首などで、
皮膚の赤みが増して温かく感じられます(熱感、ほてり)。
大量に汗をかく人もいます。
ほてりは30秒から5分程度続き、ほてりの後に悪寒を感じることもあります。
 

閉経期の前後にみられる症状としてはこのほか、
気分の変動、うつ、刺激に対する過敏性、不安、神経質、
不眠、集中力低下、頭痛、疲労などがあります。
これらの症状はエストロゲン濃度の低下と関連している可能性がありますが、
正確な関係は明らかになっていません。
ほてりによる寝汗が睡眠を妨げ、睡眠不足が原因で疲れたり、
いらだちやすくなることがあります。
睡眠障害はほてりがない女性にもよくみられます。
 
めまいがしたり、しびれを感じることもあります。
心臓の拍動が強く、あるいは速く感じられること(動悸[どうき])もあります。
更年期に体重が増えたり、閉経後もさらに増え続けることがありますが、
これはホルモン濃度の変化によるものではなく、通常の加齢に伴う現象の1つです。
 

更年期のさまざまな症状は不快なものですが、
その多くは閉経以降は頻度も強さも低下していきます。
(メルクマニュアルより)
 
更年期をうまく乗り切る手段として鍼灸は最も適切な手段です。
 
更年期障害の鍼治療は、自律神経の調整を主な目的に行います。
特に交感神経過緊張を緩める治療です。
自覚があるなしにかかわらず、頚椎から胸椎の脊柱に異常や圧痛が見られることが多く、
(交感神経は胸腰椎、副交感神経は中脳・延髄・仙髄)
背中のツボ(背骨の両脇)に刺鍼することで
緊張した交感神経の安定を求めます。
 
直後効果も大きく、自覚症状の軽減が見られます。

痛みの悪循環

pain
 
機械的、物理的、あるいは化学的刺激はその強度が増すと、痛みとして感じられるようになります。
このような外的刺激を侵害刺激といいます。
 
また、病気や外傷等によって生じる炎症やその他の発痛物質(セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン等)
が作用しています。
これらの刺激や発痛物質によって侵害受容器(知覚神経)が興奮すると、
インパルスと呼ばれる電気信号が発生し、この信号は脊髄に入ります。
 ここで痛みの情報は次の神経にバトンタッチされ、さらに上行して視床に入り、
そのあと大脳皮質中心後回の体性感覚野に送られ、脳が痛みを自覚します。
 
痛みのインパルスが脊髄を上行する時、交感神経を興奮させ血管を収縮させます。
また、交感神経が興奮することによりカテコールアミンが副腎より分泌され、これも血管を収縮させます。
 
一方、大脳で痛みを認知するとインパルスは脊髄を下行し、反射性に運動神経を興奮させ、筋肉の緊張を増大させます。
これも血管の収縮につながります。
 
 このようなことから、痛みの発生部(原因組織)で血管収縮が起こります。
したがって局所の乏血が起こり血流不全となり、細胞組織の酸素欠乏となります。
 
 酸素で代謝ができなくなると、嫌気性代謝がおこり発痛物質が生成され、
さらに痛みを増強させます。このサイクルが痛みの悪循環です。各種の慢性痛の原因となります。
 
したがって、慢性痛の治療では痛みの悪循環の主役が交感神経の興奮であることを考慮して効果的に悪循環を止めることが重要となります。
 
出典:劔物 修編:改訂新版 図説半導体レーザーと痛みの治療、メジカルビュー社 1996.
 
弊院では必要により鍼灸と併用してキセノン光治療機AUVEで痛みのスパイラルを改善しています。

医療類似行為

法律上鍼灸は医療類似行為と定義されています。
治療や診療は医師や歯科医師のみが行える医療行為です。
ですから厳密には鍼灸院での治療は施術といいます。
 
診療時間という案内も法律に違反する書き方になります。
分かりやすいので私は使っていますが...
 
あるクリニックの診療方針に以下のようなものがありました。
 
目標
・自律神経の調節
・痛みやストレスの緩和
・中西医学の融合
・心身のリラクゼーション
 
コンセプト
痛みや辛さを取るのも医療である。
 
これらは鍼灸が求めているものと寸分の違いも有りません。
 
「痛みや辛さを取るのも医療である。」
これこそ鍼灸の得意分野です。
方法は違えどその目的は同じで、法律に遠慮なく述べるとすれば、鍼灸もまた間違いなく医療でしょうね。
 

大学病院のドクターが言っていた言葉を思い出します。
エビデンスに基づいた医療(EBM:Evidence Based Medicine 臨床的な判断に際し関係した文献を見つけ出し,
その妥当性を評価し,眼前の患者の状態に適用していいかどうかを検討するという一連の行動指針をさす)
の効果が無かった時、
もう打つ手が無いからと言って患者さんを見捨てて良いのか?
 
「たとえエビデンスに基づかなくても次の一手として鍼灸治療が有っても良いのではないか。
それで良くなる患者さんがいる限り...」
 
最近でこそ鍼灸界においてもEBMと言われるようになりましたが、
鍼灸はEBMとは対極にある「経験に基づいた行為」です。
しかし何故か現代医学では良くならなかった患者さんが、
鍼灸で見る見る良くなる良くなってゆく場面に多々遭遇したドクターの重い言葉です。
 
ここ数年で若い鍼灸師が爆発的に増えました。
規制の自由化とやらで学校が増えた為です。
そんな若い多くの知能が、近い将来鍼灸の科学的解明を益々進めてくれると期待しています。

冷えから来る痛み

春先は秋に比べると平均気温がかなり低く、その為か体の不調を訴える患者さまが増加します。特に気をつけなければならない事は、一度暖かくなって薄着になっているので、体が冷えやすい状態になっていることです。
 
冷えによる血行不良のため、足のむくみやだるさ、膝の痛み、肩こり、寝違えなどを訴えて来院されます。
 
冷えやすい足元や首筋を保温をするよう心がけてください。
温めるだけでむくみや痛みの予防ができます。
 
日本では近年35度C代の低体温の人が増えています。
体温が低くなると代謝が悪くなり、免疫機能も低下します。
風邪のとき、少々の熱ならば解熱剤で体温を下げない方が良いということを聞いたことはありませんか。免疫が活発に働くと発熱し、その発熱が免疫効果を助けるという密接な関係が存在するのです。


また冷えの影響は体の不調だけでなく心に及びます。だらだらとやる気が無くなり、自律神経のアンバランスを生み出します。
 
人はその中心の体温が37.2度Cぐらいありますが、深部体温と言い常に一定に保とうとします。体温が低い人は中心温度を保つため、手足からの放熱を少なくしようと末梢の血管を収縮させて手足に血液が行かないように調整します。深部体温を下げないための生体反応が冷えの原因です。
 
ではなぜ低体温の人が増えているのでしょうか。
その生活習慣の変化により平均体温が下がってきているようです。運動不足。ストレス、シャワーだけの入浴、冷房、睡眠不足など様々な要因が考えられます。
 
定期的に腰痛を起こしていた患者さまに、お風呂に浸かってゆっくり温まるようにして頂いた結果、腰痛が起こらなくなったと言う事を多々経験しています。
 
お風呂に入ると温まって血流が良くなるばかりではなく、副交感神経が優位になり、ホッとする、リラックス効果がある、その結果血流が良くなるという機序もあります。
 
自己修復能力を高めるにはまず血流改善が必須です。
湯治は昔の人間が経験的に考えた最善の治療方法なのです。
 
冷え性は万病の元という言葉はご存じでも、その反対に保温は万薬に値する。
という事を考えもしないかたがほとんどです。
 
※冷え性は冷え症ではありません。症は病気を現わし、冷え性は病気ではないからです。
 
生活習慣を変えるのは大変困難な事ですが、できることから始めてみては如何でしょうか。
 
NTT西日本大阪病院冷え性チェック
 
1 エアコンのない夏は考えられない
2 虫さされの後などがなかなか治らない
3 肩こり、腰痛、ひざの痛みなどがある
4 夕方になると足がだるい、靴もきつくなる
5 目のまわりにクマができやすい
6 性欲がない。セックスは面倒だ
7 おなかのあたりを触るとひんやりしている
8 どちらかというと下半身太りだ
9 冷たい飲物をがぶ飲みしがちだ
10 シャワーのみで湯船にはつからない
11 コーヒーを1日に3杯以上飲む
12 あまり歩かない、1日5000歩以下かも
13 ファーストフードやデリが好きだ
14 ニキビや吹き出物など、肌荒れしやすい
15 風邪でなくても、くしゃみや鼻水が出る
16 いったん座ると動くのがおっくうだ
17 便秘がある、または下痢しやすい


あてはまる数が多いほど、体は冷えています。
5つ以上だった人は、とりあえず体温を測ってみてください。
もし36度に満たない「低体温」だったなら、今すぐ体質改善を。

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鍼灸師専門書

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